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顧客情報の持ち出し(弁護士薩川智結)

今回は,転職の際の会社の従業員による顧客情報の持ち出しについて,不正競争防止法の観点を踏まえて検討してみたいと思います。

会社を退職した従業員が取引の競合するような企業に転職するケースでは,会社が従業員の転職を快く思わないことが多々あります。そのような中で退職者による顧客情報の利用や持ち出しについてのご相談を受けることが比較的多くあります。

不正競争防止法は,事業者間の公正な競争等を確保するため,不正競争の防止と不正競争に係る差止請求,損害賠償請求,廃棄除去の請求等を規定しています。

顧客情報の持ち出しは,不正競争防止法が不正な競争行為としている「営業秘密の侵害」にあたるかという問題です。

「営業秘密」は,企業にとって大事な情報であって,例えば製造方法に関する情報,取引単価やマニュアルなどもこれに該当しうる情報であると考えられますし,顧客情報もここに含まれてくる情報です。

線引きが難しいのは,当該情報が「秘密」として管理されているかという要件になります。これは,大まかに言えば,情報に接することができる従業員が秘密だと認識できる程度の措置がされているかどうかになります。

企業としては秘密として管理していることを従業員に対して明確に示すために,保管場所を施錠したり,アクセスを制限したり,分かりやすく「持ち出し禁止」,「マル秘」など記載するというような措置を求められることになります。

転職との関係では,営業秘密の侵害は,在籍中に正当に営業秘密を取得した場合でも,退職後に図利加害目的でその営業秘密を自分で使用したり,他者に開示したりする場合には,不正な使用・開示(法2条1項7号)になるという点が重要です。

なお,従業員の転職先の企業が,不正開示行為の介在していることを知るなどしながら取得した営業秘密を使用等した場合,これも不正競争行為になります。不正競争行為は,転職した従業員だけの問題にとどまるものではなく,転職した先の企業に影響するものですので注意が必要です。

(平成30年3月8日)

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