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民法改正~「保証」について(弁護士網野雅広)

今回の民法改正では「保証人の保護」が1つの大きなテーマになっています。具体的には、
①個人が保証人になる場合には公正証書が必要になる場合ができた
②債務者には、保証人に対して情報提供をする義務が課せられる場合ができた
③個人が根保証する場合は限度額を明示しなければならなくなった
といったところがあります。順番に見てみましょう。

まずは①についてです。
これまでも、保証人となる場合には書面で行うことが求められていました(民法第446条第2項)が、さらに進んで、「事業用の融資」について個人が保証するためには公正証書が必要となりました(改正後の民法第465条の6第1項)。ちゃんと公証役場に行って、公証人の説明を受けなければならないので、変に言いくるめられて保証人にさせられることは少なくなると思います。
そうなると、「え?私、会社の代表なんだけど、それでも公正証書が必要になるの?めんどくさい!」と思われるかもしれません。確かにそうなると面倒ですが、実際は大丈夫です。というのも、この規定には例外があって、「法人の事業用融資を役員が保証する場合は公正証書じゃなくていいです」とされています(改正後の民法第465条の9第1号)。他にも、株式の過半数を持っている人も例外とされています(同第2号のイ)し、個人事業の場合なら事業主の配偶者も例外とされています(同第3号)。
また、公正証書が求められるのはあくまで「事業用の融資」についての保証に限られますので、賃貸マンションの保証などは公正証書である必要はありません。
まとめると、「事業用の融資」について、「会社と関係のない個人」が保証人になろうとする場合には公正証書で保証しなければならない、ということになります。会社の役員になっていない父親に保証人になってもらうような場合なんかが典型かもしれませんね。その場合、公正証書でなければいけないのでご注意ください。

続いて②です。
実は、たまにある相談として、「離婚した元夫の住宅ローンを連帯保証していたけど、別れてからちゃんと払っているかわからない」とか「知人が家を借りる時に保証人になったけど、その知人が家賃滞納していないか知りたい」という相談があります。これを読んでいる人の中に身に覚えのある人もいるのではないでしょうか。
これまでの民法では、こういうときに何も対応する方法がありませんでしたが、改正後の民法ではちょっと違います。お金を貸した人や大家は、保証人から「アイツ、ちゃんと払ってる?」と聞かれたら、滞納状況や残債務額などについて回答する義務が課せられました(改正後の民法第458条の2)。また、主債務者が期限の利益を失った時も、債権者(主にお金を貸した人)は2ヶ月以内に保証人に「もう一括弁済になったからね」と伝えなければなりません。
さらに、保証契約を結ぶ時にも情報提供を求めることができるようになりました。皆さんの周りにも、「絶対に迷惑をかけないから!!」と言われて友人の事業の借金を保証しちゃった人はいませんか?改正後の民法第465条の10では、事業用の債務について保証人になろうとする人は、主債務者に対して、財産や収支の状況を明らかにしてもらったり、ほかの債務の有無や滞納状況を明らかにしてもらったり、ということが可能になっています。もちろん、主債務者は保証してもらいたいのでウソを言うかもしれませんよね?そういう時も、場合によっては「保証契約を取り消す!」と言うことさえできるようになっています(改正後の民法第465条の10第2項)。
このように、改正後の民法では保証人にとって非常に気になる情報を提供してもらいやすくなっていますので覚えておいてください。

最後に③です。
まず「根保証」について簡単に説明しておきます。
普通、「保証人になる」というと、ある1つの債務について保証することを言いますよね。例えば、銀行から1000万円借りるときの保証人なんかがそうです。でも、1つの契約の中から複数の債務が発生する場合、債務が発生するごとに毎回保証契約をしなければならないとすると面倒ですよね。そういう場合のためにあるのが「根保証」です。1つの契約の中から発生する限り、複数の債務であっても全部保証する、ということができるのです。わかりやすい例だと、賃貸借契約の保証人です。賃貸借契約の保証人は、住んでいる人が家賃を滞納するとその家賃を保証しなければなりませんが、家賃はその月ごとに発生する債務なので、「契約は1つだけど債務は複数」ということが起きます。これを滞納が発生するたびに「保証して」とやっていたら手間がかかってしかたありませんので、「根保証」ということになっています(契約書上、「根保証」という単語を使っていなくても構いません。)。
さて、この「根保証」ですが、場合によっては想定していなかったような金額になってしまうこともあります。賃貸借契約の保証の例で考えてみるとわかりやすいのですが、借主が家賃をどれだけ滞納するかなんてわかりませんよね。そこで今回の民法改正により、「個人が根保証契約をするときは、債務の内容を問わず、上限額を決めないとダメです」となりました。賃貸業をやられている方、副業でアパマン経営をされている方は、契約書を改めて作り直す必要がありますのでご注意くださいね。

(平成30年7月9日)

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