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身近な法律入門(コラム)

身近な法律入門(コラム)

こちらでは当事務所のメンバーが身近な法律の話題をとりあげています。ほんのちょっとためになるようなことを書かせていただきますのでどうぞご参考になさってください。(※コラムの内容は執筆当時の法律・判例を前提としています。)

多数相続人の遺産分割(弁護士福本康一)

遺産相続に関するご依頼をいただくことが多いので、今回は、特殊な遺産分割についてご説明します。

 

【一般的な遺産分割】

亡くなられた方の配偶者と子が法定相続人となっている遺産分割においては、法定相続人の数も数名で相続人相互に面識・交流があることが一般的といえます。

(それ故に深刻な紛争になってしまうことも散見されますが。)

 

【法定相続人が多人数に及ぶ遺産分割】

一方で、数十年にわたり相続手続を行わなかった結果、二次相続、三次相続が発生している遺産分割や、亡くなられた方の兄弟姉妹(甥姪)が法定相続人となっている遺産分割においては、法定相続人の数が数十名に及び、相続人相互の面識が全くないといったケースもございます。

不動産の相続登記、相続預金の解約手続といった各種相続手続においては、法定相続人全員の同意が必要となることから、面識のない方も含めて数十名の法定相続人全員から署名押印(実印)+印鑑登録証明書を取り付ける必要があります。

このような状況で何から手を付けて良いかわからず、途方に暮れてご相談いただくことが多いです。

 

本稿では、法定相続人が多人数に及ぶ遺産分割をご依頼いただいた場合の解決方法についてご説明していきます。

 

①まずは戸籍の収集

法定相続人の範囲を確定し、住所地を確認する必要がありますので、相続戸籍を収集します。

多いケースでは100通前後の戸籍を取得することもありますが、只ひたすらに戸籍を集めます。(特別なノウハウはありません。)

 

②法定相続人全員にコンタクト

戸籍の収集が完了した後、法定相続人全員にお手紙を送り、遺産分割の内容をご説明の上で、ご意向を確認することになります。

法定相続人全員にお手紙を送付する際に大事なことは、「相続財産について十分な情報提供を行うこと」です。

相続財産の内容を何も把握されていない法定相続人の方にコンタクトする際には、客観的資料(通帳写し、登記、評価証明書など)をつけた詳細な遺産目録を同封することにより、十分な情報提供を行っております。

相続財産に関する情報提供が不十分な場合、「他にも相続財産を隠しているのではないか。」といった疑心暗鬼が生じることもありますし、「相続財産全体がわからないのに、どのように分けるかわからない。」といった問題が生じます。

私の経験上は、相続財産に関する情報提供を十分に行うことが、早期の遺産分割協議成立につながると思われます。

 

③相続分譲渡証明書の活用

遺産分割について合意に至った場合、「遺産分割協議証明書」に法定相続人各自が署名押印することが一般的です。

「遺産分割協議証明書」は、各相続人が取得する相続財産の内容を全て記載した書類であり、同内容の遺産分割協議証明書に法定相続人全員が署名押印することにより、遺産分割協議の成立を証明するものです。

一方で、多数の法定相続人が関与するケースにおいては、「遺産分割協議証明書」の代わりに、「相続分譲渡証明書」を活用することが有効です。

「相続分譲渡証明書」は、代表相続人とその他の法定相続人の間で、個別に相続分を有償・無償で譲渡したことを証明する書類です。

代表相続人が他の法定相続人全員から相続分の譲渡を受けることにより、遺産分割協議証明書と同様の効果があります。

法定相続人が多数に及ぶ場合には、以下の通り、各相続人の事情により様々なご意向があります。

「故人と生前にお付き合いがなかったので、遺産は要りません。」

「法定相続分どおりに取得します。」

「諸事情により法定相続分に加算して財産を取得したい。」

これらのご意向に従って遺産分割協議証明書を作成した場合、各法定相続人が取得する財産の内容が相続人全員に知れてしまいますので、一旦は相続財産を取得しない意向を述べていた方が、「●●さんが取得するのであれば、私も遺産を取得したい。」と主張するなど、遺産分割協議が再び錯綜するリスクがあります。

代表相続人の方が他の相続人全員から個別に相続分譲渡を受けて、「相続分譲渡証明書」を取り交わす方法は、相続人間で遺産分割全体の情報を共有しないことから、遺産分割協議が錯綜するリスクが低く、相続人間に余計な軋轢生まないというメリットがあります。

 

法定相続人が多数に及ぶ遺産分割の解決方法について、基本的な手法をいくつかご説明しました。

上記の他にも、スムーズな遺産分割成立にむけたノウハウがございますので、法定相続人が多数に及ぶ遺産分割でお困りの際には、是非ご相談下さい。

 

(令和2年6月15日)