カフェ(飲食店)の開業について

38歳女性です。
長年の夢だった「自分のカフェ」を開くことを目指して準備を進めています。
ただ、営業許可の手続きや、法律面で何をすればいいのか、分からないことばかりで不安です。特に、保健所のルールや、行政とのやりとりが難しそうで心配です。
カフェを始めるにあたって、どんな法律上の注意点があるのか、教えていただけませんか?

カフェ開業に際して、営業許可や法律手続きに関するご質問ですね。ありがとうございます。分かりづらい点も多いかと思いますので、ひとつひとつ一緒に確認していきましょう。
営業許可を得るまで

カフェを開業するにあたって、営業許可の取得や必要な手続きが大変だと聞きました。

はい、とるべき手続きはいろいろありますが、中心的なところでは、講習を受けて「食品衛生責任者」の資格を取った上で、都道府県知事から営業の「許可」を得る必要があります。
横浜市や川崎市のように保健所を設置している市では、市長(又は保健所長)から許可を受けることになります。

許可を取るのは難しいのでしょうか?

許可の要件は食品衛生法や地域の条例に定められていて、厨房の作りから、冷凍・冷蔵庫の仕様、照明、壁・床・天井の材質、トイレ、排水設備等に至るまで、非常に細かく決められています。
店舗の間取り等もチェックされるので、事前に店舗の設計図等も用意する必要があります。ですので、許可の申請をする前に「事前指導」という段階を設けて、許可を得るためのアドバイス(指導・助言)をしている自治体もあります。
ちなみに、横浜市は事前指導の段階を設けているようです。

なるほど…。店内のインテリアにはこだわりたいのですが、行政からうるさく言われるのは避けたいですね。言われたことを全て守らないと許可はもらえないのでしょうか?

はい、行政は基本的に法律の基準に即してアドバイスしているので、守らなければなりません。ただ、法律上、義務ではないけれども、「行政としてはできればこうしてほしい」といった事柄も含まれている場合があり、そういう場合は、もしそれが嫌なら守る必要はありません。

そのあたりの見定めはどうしたらよいですか?

この点は、一般の方には難しいと思いますので、当事務所など、法律の専門家に助言を求めるのがよいと思います。
それから、稀にですが、行政からのアドバイスに従わない限り、許可の申請をさせてもらえないなんてこともあります。
申請書を提出しようとしたけど窓口で突き返されるといったケースです。
こうした取扱いは違法ですので、このような場合もご相談ください。
営業許可を得てから

わかりました。行政ともめそうになったら、弁護士の方に相談するのが吉ということですね。では、許可を受けた後で気をつけることはありますか?

はい、これも食品衛生法等に飲食店営業者の遵守事項が細かく定められていますので、常にこれを守って営業する必要があります。飲食店は、毎日、何十人、何百人に食べ物を提供するので、食中毒などが起きては困りますからね。

万が一、食中毒を起こしてしまったらどうなりますか?

その場合、都道府県知事(又は市長・保健所長)から営業禁止命令等の行政処分を受けることになります。

そうなのですね…。
ただ、食中毒が本当にお店に原因があるのかどうかは、はっきりとは分からないこともありますよね。それでも、営業禁止処分を受けた場合は、必ず営業を停止しなければならないのでしょうか?

その通りです。SNS等で「営業停止しろ」などと投稿された場合には無視していてもよいのですが、行政による営業禁止処分の場合、話は別です。
行政処分一般にいえることですが、営業禁止処分を受けたら、直ちに営業を停止しなければならず、無視して営業を続けたら、刑罰を受けることになります。
行政処分については、行政に対して行政上の不服申立て(審査請求)をしたり、行政訴訟を提起したりして、正式にそれを取り消してもらわない限り、無視することはできません。

なるほど…。これは自分でもできるのでしょうか?

できなくはないですが、非常に専門的な問題になりますので、当事務所など、法律の専門家を頼ることをおすすめします。
しかも、行政上の不服申立てや行政訴訟は、行政処分を受けてから短期間のうちに提起しなければならないので、できるだけ早めにご相談ください。
ご近所トラブル

わかりました。他に、飲食店を始めるに当たって、気をつけることはありますか?

強いていうなら、立地を慎重に選んで、ご近所トラブルを避けることでしょうか。例えば、カフェがあった建物に、別のカフェが入るような場合はよいのですが、古書店があったところにカフェができたらどうでしょうか。周辺住民の方々にとっては、以前より騒々しく感じられるかもしれませんし、調理のにおいに苦情が来ることも考えられます。

そうですね、地域の人から愛されるお店にしていきたいです。
本日はいろいろとありがとうございました。

こちらこそ。お店ができたら、是非、お伺いしますね。
当事務所は様々な事案を取り扱っている総合法律事務所になります。
些細なことでも気になる事がありましたらお気軽にご相談ください。
遺言や相続、交通事故、会社法務、医師や歯科医開業支援、離婚問題、不動産関係、破産や再生などの債務整理、財産管理、刑事事件などのご相談は
横浜、みなとみらいの弁護士事務所「LM総合法律事務所」まで。
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