トラブルで現行犯逮捕。前科を避けるには?

44歳の男性です。
先日、駅構内で見知らぬ男性とぶつかって言い合いになり、つかみ合いの末、思わず突き飛ばしてしまいました。
相手の男性は壁に頭をぶつけて出血し、たまたまその場に巡回中の警察官がいたため、私は現行犯で逮捕されて取り調べを受けました。その後、検察庁に送致されている状況です。
現在、検察官や警察官から取調べを受けておりますが、自身の経歴に前科をつけたくないです。なんとか不起訴処分にできないでしょうか。

それは大変でしたね。
現状の整理と、今後どう動くべきか、ひとつずつお話ししていきましょう。
逮捕される場合とは

本件は、「突き飛ばす」という行為が、暴行罪ないし傷害罪に該当します。
警察官が当該行為を目撃(現認)した場合には、現行犯逮捕される可能性がございます。
また、仮にその場に警察がおらずとも、相手の方が被害届を出した場合、警察の捜査により後日逮捕される場合もございます。
逮捕後は、刑事施設で留置され(最長72時間)、検察庁に送検された後に検察官の請求により10日間の勾留(追加で10日間、最長合計20日間)をするか裁判所が判断をします。
逮捕された場合には、弁護士から権利の説明を受けることができますので、早期の段階で弁護士に相談することをお勧めいたします。

逮捕されてすぐに弁護士さんに相談するといいのですね。
不起訴になる可能性はあるか

逮捕後でも不起訴になる可能性はあるのでしょうか?

はい、あります。
検察官は10日間(延長が認められれば最大20日間)の勾留期間の間に、起訴するか不起訴にするかを判断します。なお、不起訴処分には以下の種類がございます。
- 嫌疑なし
犯人ではないことが明白である場合や、犯罪の成否を認定する証拠がない場合の処分 - 嫌疑不十分
嫌疑が完全に晴れたわけではないが、証拠が不十分である場合の処分 - 起訴猶予
起訴を行わないが、将来的に再検討する可能性がある場合の処分
上記不起訴処分に該当すれば、不起訴として身体拘束から解放されます。
なお、不起訴の典型例としては、犯人が特定できない場合や、暴行や傷害といった被害者がいる事件で、示談が成立している場合などがございます。

検察官の判断にはどんな要素が影響するんですか?

検察官の判断には一定の裁量がありますが、たとえば以下のような点が重要な判断材料になります。
- 犯人であることが明らかであるか(本件では現行犯逮捕なので明らか)
- 被害者との示談が成立しているか
- 被害の程度や犯行の悪質性
今回のように、相手に怪我をさせてしまっているものの、軽微な傷害であり、
かつ示談が成立すれば、不起訴となる可能性は十分にあります。
示談の進め方はどうするべきか

それを聞いて安心しました。
しかし、私はいま勾留されていて相手に会うこともできません。
示談はどうやって進めればよいのでしょうか?

その場合、弁護士が代理で示談交渉を行います。示談では、示談金の支払いや、今後の接触を避けることなど、具体的な条件を話し合って合意を目指します。
不起訴の典型例としては、犯人が特定できない場合や、暴行や傷害といった被害者がいる事件で、示談が成立している場合が含まれます。

このようなケースでは、犯行の内容や怪我の程度にもよりますが、示談の成立は不起訴処分を得るうえで非常に重要です。
軽微な暴行や傷害事件であれば、示談によって不起訴になる可能性は十分にあります。
民事訴訟の可能性

なるほど。
ちなみに、刑事で不起訴になれば、もう終わりなんでしょうか?

いいえ。刑事事件とは別に、民事上の損害賠償請求をされる可能性があります。
暴行や傷害の行為は民事上の「不法行為」に該当しますので、被害者が損害賠償を求めて民事訴訟を起こす可能性もあります。

その可能性もあるんですね…。
請求されるとしたら、どんな費用が請求されるのでしょうか。

一般的に、暴行や傷害のようなケースでは、交通事故と同様に「人的損害」に関する賠償が問題となります。具体的には、以下のような費用があげられます。
- 治療費
- 通院交通費
- 休業損害
- 慰謝料
- その他特別の損害等
これらは刑事処分とは別に、民事上で個別に判断されることになります。
こうしたトラブルにおいては、「示談交渉」と「不起訴処分の獲得」が重要なポイントになります。 弁護士が間に入ることで、よりスムーズかつ的確に対応することが可能です。

ありがとうございます。
今すぐ、弁護士さんに依頼して、示談に向けた対応をお願いしたいです。

刑事事件の対応は慎重に進める必要があり、進め方次第では相手との関係が悪化することもあります。できるだけ早い段階でのご依頼をおすすめいたします。
当事務所は様々な事案を取り扱っている総合法律事務所になります。
些細なことでも気になる事がありましたらお気軽にご相談ください。
遺言や相続、交通事故、会社法務、医師や歯科医開業支援、離婚問題、不動産関係、破産や再生などの債務整理、財産管理、刑事事件などのご相談は
横浜、みなとみらいの弁護士事務所「LM総合法律事務所」まで。
他のコラムを探す
キーワードで検索