交通事故にあったときにまずやること

網野弁護士

2022/03/08

お悩みさん

先日、運転中に急に進路変更してくる車がいて、危うくぶつかりそうになりました。もしぶつかっていたらどうするべきなんですか?

網野弁護士

今回は何事もなくてよかったですが、万が一のことを考えておくことは大事ですね。交通事故に遭ったときのフローを簡単に説明しましょう。

まっさきにやることは?

網野弁護士

事故が起きてしまった場合、まずやることは、安全な場所に車を停めて警察を呼ぶことです。

お悩みさん

たしかに基本的なことですが大事なことですね。でも、ちょっと接触しただけで向こうが平気そうならあとは自分の車の傷を我慢すればいいんじゃないですか?

網野弁護士

絶対にダメです。ささいな接触であっても、相手が自転車だったり高齢者だったりすれば大きなケガをしているかもしれません。それを放置すると道路交通法の救護義務違反となりますよ。ひき逃げになるので逮捕されても文句は言えません。

警察を呼ぶと事故の状況を説明することになりますが、実況見分といって事故の状況を細かく説明する書類を後日作ることになることがあります。そのときに忘れないよう、自分でも事故の状況をメモしておくといいでしょう。

また、相手の方と連絡先を交換しておくことや、ご自身の保険会社に連絡することも大事です。特に、保険会社は事故の初動に慣れていますので、ちゃんとご自身の保険会社の連絡先は携帯等に入れておくとよいと思います。

事故の初動について

事故を起こした場合、たとえそれが被害者であってもとても混乱すると思います。日頃から「これだけはやる」ということを意識しておくとよいと思います。上で述べたように、①車を停める、②警察を呼ぶ、③保険会社に連絡する、④相手と連絡先を交換する、といったあたりは必ず必要になります。

それ以外にも、実況見分調書の作成が後日になることもありますので、その場合はあとで思い出せるように写真やメモを残しておきましょう。

さらに、あとでも触れますが、「どちらが悪いか」という過失割合については争いになることが多いです。たとえその場で相手が自分の過失を認めていたとしても、後日になって前言を撤回してくることはいくらでもあります。ドライブレコーダーなどの証拠があればいいですが、そうでないと水掛け論になる可能性もありますので、録音を取っておくことも有益である場合があります。

ケガをしていた場合はどうなる?

お悩みさん

絶対に逃げないように肝に銘じます・・・。

ところで、ケガをしていた場合、治療費や慰謝料ってどうなるんですか?

網野弁護士

ケガの治療費や通院期間に応じた慰謝料は相手に請求できますし、まずケガはしっかり治すようにしましょう。

治療の際は、「第三者行為の届け出」をすれば健康保険も使えます。相手に保険会社がついていれば、治療の実費を相手の保険会社から病院に直接払ってもらうこともできます。

お悩みさん

慰謝料はどの程度になるのでしょうか?やはり通院している間は痛みもあるわけですし、通院するということ自体が辛いと思いますが。

網野弁護士

慰謝料には通院慰謝料と後遺障害慰謝料があります。前者は通院期間に応じて慰謝料が発生します。2ヶ月程度の通院の場合、ケガや治療の内容にもよりますが30万円から50万円の慰謝料となることが多いです。

後者は「事故の前と比べると体の機能が一部または全部失われた」という場合に発生します。後遺障害等級によりますが、1級だと数千万円になることもあります。

また、後遺障害が残ると、今までよりも「稼ぐ能力」が下がるとされていますので、減収分も補償されることになります。

入院・通院慰謝料

上記では「通院」について触れましたが、もちろん入院した場合も同様に慰謝料が発生します。入院と通院合わせた期間に応じた慰謝料が発生することになりますが、その金額については多数の事例の蓄積によりある程度の相場が決まっています。保険会社が提示してくる入通院慰謝料は、我々が把握している「相場」よりも低いことが多いので、依頼するかどうかに関わらず、保険会社からの提示があった場合は弁護士に相談することを強くお勧めします。

後遺症がある場合は?

治療してもこれ以上回復しない、ということになると治療が終了することになります。その時点で、事故前と全く同じ状態まで回復することは難しい場合もあり、その際に身体の機能が一定以上失われた場合は「後遺障害」と認定されることになります。

この「後遺障害」は残念ながら今後一生付き合っていくことになりますので、やはり苦痛を伴うことになり、慰謝料が発生することになります。等級には1級から14級まであり、それぞれ基準が決まっています。わかりやすい基準に該当してくれればいいですが、該当するかどうかは診断書の書き方次第、というケースもありますので後遺障害が気になる場合は事前にご相談いただいた方が無難です。

また、後遺障害により労働能力が一定程度喪失する、つまり、「稼ぐ能力」が下がるものとされていますので、今後の減収分が一定の数式に従って補填されることになります。

過失割合って?

お悩みさん

ケガをしても補償されるならまぁいいか・・・あれ?でも、事故ってどっちかだけが一方的に悪いってことは少ないですよね?そういう場合ってどうなるんですか?

網野弁護士

そうですね、相手と自分とで「どちらがどれだけ悪いか」というものを「過失割合」と呼びます。

実はこれもたくさんの事例が蓄積されていて、ある程度の目安が決まっています。そして、その「目安」を元に、「でもこういう事実もあるじゃないか」ということで少しずつ割合を変更して、その事故の実態に合った解決をすることになります。

お悩みさん

その「過失割合」で何が変わるんですか?

網野弁護士

賠償を求められる額が変わってきます。

例えば、事故であなたが受けた損害が通院費用や通院慰謝料や物損など、合計で1000万円あったとします。

もしその事故であなたの「過失割合」が70%だった場合、相手からもらえるのは残りの30%だけ、ということになります。

お悩みさん

事故でつらい思いをして、その30%しか補償されないんじゃたまったもんじゃありませんね。安全運転を心がけるようにします・・・

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